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不動産売却を全部自分でやる方法|流れ・費用・注意点

不動産投資約8分で読めます

「仲介手数料がもったいないから、不動産の売却を全部自分でやりたい」「買い手はもう決まっているので、不動産会社を通す必要はあるのか」——こうしたご相談をいただくことがあります。

結論から言うと、自己の不動産を売ることは法律上可能です。ただし、価格の決定から契約書の作成、引き渡しまでをすべて自分で行う必要があり、トラブルが起きたときの責任もご自身で負うことになります。この記事では、不動産会社の立場から、個人売買の流れ・費用・注意点と自分でやるのに向いているケース・向いていないケースをお伝えします。

不動産売却は自分でもできる?

不動産会社が売買の仲介をするには宅地建物取引業の免許が必要ですが、所有者本人が自分で買主を見つけて売る場合、資格や免許は必要ありません。

ただし、不動産の売買を事業として繰り返し行う場合は、宅地建物取引業の免許が必要になることがあります。自宅や相続した土地を一度売るといった通常のケースでは問題ありません。

自分で売る最大のメリットは仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼すると、売買が成立したときに仲介手数料がかかります。法律で上限が決められており、2026年11月時点の上限額は次のとおりです。

売買価格(税抜)仲介手数料の上限
400万円超売買価格×3%+6万円+消費税
800万円以下の「低廉な空家等」の特例30万円+消費税(33万円)まで

たとえば3,000万円で売却した場合、上限額は105万6,000円(税込)です。この費用がかからないことが、自分で売る最大のメリットです。

※800万円以下の特例は2024年7月1日から適用されているもので、不動産会社が媒介契約の前に説明し、依頼者が合意した場合に限られます。

自分で売るときの流れ

不動産会社に依頼した場合と基本的な流れは変わりません。違いは、すべての工程をご自身で行うことです。

  1. 物件の調査:登記簿謄本(登記事項証明書)で所有者・面積・抵当権を確認し、境界や建物の状態を把握します。
  2. 価格の決定:周辺の成約事例や公的な価格(国土交通省の不動産取引価格情報など)を調べて売り出し価格を決めます。
  3. 買主探し:知人・親族・隣地の所有者への声かけや、個人売買のマッチングサイトなどを利用します。
  4. 条件交渉:価格、引き渡し時期、設備の扱い、手付金の額などを買主と話し合います。
  5. 売買契約書の作成・締結:契約書を作成し、署名・押印して手付金を受け取ります。
  6. 決済・引き渡し:残代金を受け取り、所有権移転登記を行い、鍵を渡します。住宅ローンが残っている場合は、同時に完済して抵当権を抹消します。
  7. 確定申告:売却で利益が出た場合は、翌年に譲渡所得の確定申告を行います。

自分で用意する主な書類

  • 登記識別情報(または登記済権利証)
  • 印鑑証明書・実印・本人確認書類
  • 固定資産税評価証明書・納税通知書
  • 売買契約書(自分で作成)
  • 物件の状況を説明する書面(設備の状態、雨漏りやシロアリの有無などを記載)
  • 土地の測量図・境界確認書(ある場合)
  • 建築確認済証・検査済証(建物がある場合)

仲介であれば不動産会社が作成する契約書や物件状況の説明書面も、ご自身で用意しなければなりません。

自分で売却の場合にかかる費用

費用内容
印紙税売買契約書に貼る印紙代。2027年3月31日までに作成する契約書は軽減措置あり(例:1,000万円超5,000万円以下は1万円)
登記費用抵当権抹消の登録免許税、司法書士に依頼する場合はその報酬
測量費用境界が確定していない場合の測量・境界確認の費用
譲渡所得税・住民税売却益が出た場合にかかる税金

所有権移転登記は、一般的に買主側が費用を負担し、司法書士に依頼することが多い手続きです。代金の支払いと登記を確実に同時に行うためにも、登記は司法書士に依頼することをおすすめします。

全部自分でやるときの注意点

1. 価格を決めるのが難しい

相場より高すぎれば買主が見つからず、安すぎれば損をします。特に親族や知人に相場より大幅に安く売ると、差額が贈与とみなされ、買主に贈与税がかかるおそれがあります。親族間の売買では、価格の根拠を示せるようにしておきましょう。

2. 契約不適合責任のトラブル

引き渡した物件が契約内容と違っていた場合(雨漏り、シロアリ被害、設備の故障など)、売主は修補・代金の減額・損害賠償などを求められる可能性があります。これを契約不適合責任といいます。

個人間の売買では、特約でこの責任を免除したり期間を限定したりすることが一般的に可能です。ただし、売主が事業者で買主が個人(消費者)にあたる場合は、免除の特約が無効になることがあります。不具合は契約前にすべて書面で伝え、契約書に明記することが重要です。

3. 買主が住宅ローンを利用しにくい

個人間の売買では、買主が住宅ローンを利用しにくい場合があります。金融機関によっては、宅地建物取引業者が作成する重要事項説明書などの提出を求めるためです。買主がローンを使う予定なら、事前に買主の金融機関で個人間売買に対応しているかを確認してもらいましょう。

4. 契約書の不備

手付金の扱い、契約解除の条件、ローン特約、引き渡し時期、固定資産税の精算方法などが曖昧だと、後からトラブルになります。インターネット上のひな形をそのまま使うのではなく、物件と取引の内容に合わせて作成する必要があります。

5. 税金の手続き

売却で利益(譲渡所得)が出た場合は確定申告が必要です。マイホームの売却では、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例がありますが、特例を受けるには確定申告が必要です。税金については税務署または税理士にご確認ください。

自分でやるのに向いているケース・向いていないケース

向いているケース向いていないケース
親族・知人・隣地の所有者など、買主がすでに決まっている買主をこれから探す必要がある
買主が現金で購入する買主が住宅ローンを利用する
境界が確定しており、建物の状態も把握できている境界が不明確、または建物に不具合がある可能性がある
売主・買主ともに不動産取引の知識がある相続物件で権利関係が複雑、共有者が多い

当社の見解としては、買主が決まっていない場合は、ご自身で売るのは難しいと考えます。買主探しは、不動産会社が持つ流通ネットワークや広告手段の有無で、売却期間と価格に大きな差が出るためです。

「全部自分で」以外の選択肢

手数料は抑えたいが、すべて自分で行うのは不安という場合は、次のような方法もあります。

  • 契約書の作成や登記だけを専門家に依頼する:司法書士や弁護士に、契約書のチェックや登記を依頼します。
  • 買主が決まっている取引の手続きだけを不動産会社に依頼する:重要事項説明書の作成や契約手続きのサポートを依頼する方法です。報酬は会社によって異なるため、事前に確認しましょう。
  • 不動産会社に仲介を依頼する:買主探しから引き渡しまで任せる方法です。売却の流れは不動産売却の流れで詳しくご紹介しています。

よくある質問

Q. 不動産を自分で売るのは違法ではありませんか?

A. 違法ではありません。所有者本人が売主として売る場合、宅地建物取引業の免許は不要です。ただし、売買を事業として繰り返し行う場合は免許が必要になることがあります。

Q. 売買契約書はインターネットのひな形を使ってもよいですか?

A. 参考にすることはできますが、そのまま使うと、物件や取引に必要な条件が抜けていることがあります。特に契約不適合責任、手付解除、ローン特約の条項は、専門家に確認してもらうことをおすすめします。

Q. 住宅ローンが残っていても自分で売れますか?

A. 売れます。ただし、決済日に売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。借入先の金融機関に事前に連絡し、完済の手続きと司法書士の手配を調整しましょう。

Q. 自分で売り出して、途中から不動産会社に頼むことはできますか?

A. できます。ただし、長期間売れ残った物件は「売れない理由がある」と見られやすくなるため、早めに判断することをおすすめします。

まとめ

  • 不動産は所有者本人が自分で売ることができ、資格や免許は不要
  • 最大のメリットは仲介手数料(3,000万円の物件なら上限約106万円)がかからないこと
  • 価格決定、契約書作成、契約不適合責任、買主のローン、税金の手続きはすべて自己責任になる
  • 買主が決まっていて現金購入など、条件がそろう場合に向いている
  • 不安な部分だけ司法書士や不動産会社に依頼する方法もある

「自分でやる」か「任せる」かは、手数料の金額だけでなく、手間・リスク・売却価格への影響を含めて判断することが大切です。

参考情報・出典

※本記事の情報は2026年11月7日時点のものです。契約書の作成や税務の判断は、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。

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