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CFよりBS思考で資産は増える

【1棟アパート投資実践戦略シリーズ 第3回/全7回】CFよりBS思考で資産は増える 中級者のための純資産の作り方

はじめに

不動産投資を始めたばかりの頃は、誰もが「毎月いくら手元にお金が残るか」というキャッシュフロー(CF)を中心に追いかけますよね。家賃収入からローンの返済や経費を引いて、月に10万円、20万円と手元に残れば「大成功!」と感じるものです。ただ、CFの数字だけを追いかけていると、思ったように純資産が増えていかないという壁にぶつかることがあります。これは、多くの投資家の方が数棟を保有した段階で直面する壁でもあります。

第3回のテーマは、CFのその先にある「BS思考」です。バランスシート(貸借対照表)における、負債と純資産の動きから投資全体を捉える視点になります。なぜCFが厚くて資産が増えていないケースがあるのか、具体的な数字と一緒に見ていきましょう。

CFの厚さと純資産の増加スピードは逆を向く

キャッシュフロー(CF)はあくまで「いま目の前にある現金」の動きを表しているにすぎず、資産形成の進捗を正確に示す指標ではありません。CFを最大化しようとして融資期間を長く取ると、毎月の返済額は下がりますが、毎年の「元本の返済(借金の減少)」は非常に小さくなります。

分かりやすいように、1億円を借りた場合の融資期間による違いを比較表にしてみました。

項目【融資期間:35年の場合】【融資期間:25年の場合】
月々のローン返済額約33万円(返済が少ない)約42万円(返済が多い)
手元のCF(手残り現金)厚くなる(たくさん残る)薄くなる(少ししか残らない)
1年目の元本返済額(借金の減少)約133万円(あまり借金が減らない)約205万円(借金がどんどん減る)
純資産の増加スピード緩やか圧倒的に速い

手元の現金が多く見える35年ローンよりも、現金が少なく見える25年ローンのほうが、実は「純資産が増えるスピード」ははるかに速いのです。これが、CFの厚さと資産形成スピードが逆を向くメカニズムです。

ローン返済があなたの「純資産」を生むメカニズム

バランスシートでは、資産(物件価値)=負債(借入金)+純資産(自己資本)という構造になっています。物件価格が一定なら、負債(借金)が減った分だけ、そっくりそのままあなたの純資産が増えます。つまり、毎月のローン元本を返済していく行為は、入居者様からいただいた家賃を使って、自分の純資産を毎月コツコツと積み立てていることと同じなのです。

たとえば、1億円の物件を、自己資金1,000万円・融資9,000万円で取得したとします。日々のキャッシュフローが仮にほぼゼロだったとしても、年間の元本返済が平均して250万円ずつ進んでいくとすれば、10年後には残債が6,500万円まで減り、純資産は1,000万円+2,500万円=3,500万円へと積み上がります。CFゼロでも、10年間で自己資本が3.5倍になった計算です。現金ではなく「純資産」の推移で判断するのが、BS思考の核心です。

長期保有戦略と入替戦略の比較

純資産の推移をもとに、中級者が取るべき出口の戦略は大きく2つに分かれます。

戦略名手法の概要向いている物件・エリア
長期保有戦略ローン残債を完済し、完済後のきわめて厚いCF(年間700〜800万円規模)を丸ごと取りに行く王道手法。土地値が安定し、適切なメンテで建物寿命を伸ばせるエリア。
入替戦略残債を一定まで圧縮した段階で一度売却し、確定した自己資本(純資産)を元手に、次の大型物件へ乗り換える手法。培った与信と自己資本をテコにして、一気に資産規模を拡大したい場合。

📌 今回の戦略まとめ

第3回:BS編の重要ポイント
  1. CFは資産形成の進捗を表さない:キャッシュフローの厚さと純資産の増加スピードは、しばしば逆を向く性質があります。
  2. 元本返済は「家賃による資産積立」:日々のCFがゼロであったとしても、借入元本が減っている物件は着実に純資産を蓄えています。
  3. 減価償却は課税の繰り延べ:保有中に節税できた分は売却時に譲渡税として戻ってくるため、出口とセットで税引後収支を設計する。
  4. 売却益が出る3条件を押さえる:「土地値が固い」「残債が大きく減っている」「次の買い手も融資が付く」物件を選ぶ。

次回・第4回では、現場で物件を精査するための実践的な技術として、レントロール(家賃表)、修繕の履歴、実際の管理状況をどのように読み解いていけばいいのか、具体的なチェックポイントを見ていきましょう。

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