不動産購入の完全ガイド
資金計画・住宅ローン・契約の進め方
家を買うときの「お金」と「手続き」を、順番にまとめました。諸費用の計算例、住宅ローンの選び方と審査のポイント、契約・決済の流れ、購入後の税金まで、はじめての方にもわかるように解説します。
この記事でわかること
- 購入の流れと、お金を払うタイミング
- 無理のない借入額と、自己資金の目安
- 諸費用の内訳と、具体的な計算例
- 住宅ローンの金利タイプと選び方
- ローン審査で見られるポイント
- 価格交渉と、契約で確認すること
- 決済・引き渡しの日の流れ
- 購入後の税金と住宅ローン控除
01購入の流れと、お金を払うタイミング
中古住宅の場合、物件が決まってから引き渡しまでは1〜2か月ほどです。現金が必要になるタイミングを知っておくと、資金の準備で慌てずに済みます。
- 1資金計画を立てる最初に
自己資金と、無理なく返せる借入額を決めます。
- 2物件を探す・内見する1〜3か月
希望条件を整理して探します。詳しくは「物件探しの完全ガイド」で解説しています。
- 3購入の申し込み・ローンの事前審査1週間ほど
購入申込書を出し、価格や条件を交渉します。
- 4重要事項説明・売買契約支払い:手付金・印紙代・仲介手数料の半分(会社による)
物件の説明を受けて契約します。手付金は現金や振込で用意します。
- 5ローンの本審査・金銭消費貸借契約2〜4週間
本審査に通ったら、金融機関とローンの契約をします。
- 6決済・引き渡し支払い:残りの代金・諸費用
ローンが実行され、残りの代金・登記費用・精算金などを払い、鍵を受け取ります。
- 7入居支払い:引っ越し・家具など
住所変更などの手続きをします。
- 8税金の手続き支払い:不動産取得税(数か月後)
入居した翌年に、住宅ローン控除の確定申告をします。
02資金計画:いくらまで借りて大丈夫?
金融機関の審査で「借りられる額」と、家計にとって「無理なく返せる額」は違います。予算は毎月の返済額から逆算して決めましょう。
年間の返済は額面年収の25%以内
審査では30〜35%まで認められることもありますが、教育費や車の買い替え、老後の資金も考えると、25%以内に抑えると安心です。
諸費用+生活費の半年分は現金で
頭金なしで借りられるローンもありますが、諸費用は現金で払うのが一般的です。病気や失業などに備えて、生活費の半年分ほどは手元に残しておきましょう。
頭金を入れる・入れないの違い
| 頭金 | 良いところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 物件価格の2割ほど | 借入額と利息が減る。金利が優遇されることも | 手元資金が減りすぎないように |
| 物件価格の1割ほど | 返済の負担と、手元資金のバランスが取りやすい | 諸費用の分は別に用意する |
| 頭金なし | 手元資金を多く残せる。早く購入できる | 借入額が増え、売るときにローンが残りやすい |
この返済額に、固定資産税(年に1回)、修繕費の積み立て、マンションなら管理費・修繕積立金、駐車場代を足した金額が、毎月の住まいの費用です。今の家賃と比べてみましょう。
03購入時の諸費用
| 費用 | 目安 | 払う時期 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 価格×3%+6万円+消費税(上限) | 契約時・決済時 | 不動産会社が売主の新築などを直接買う場合はかかりません |
| 印紙税 | 売買契約書 1万円、ローン契約書 2万円ほど | 契約時 | 売買契約書は軽減税率(2027年3月31日まで)。電子契約なら不要 |
| 登記費用 | 20〜40万円ほど | 決済時 | 所有権移転・抵当権設定の登録免許税+司法書士への報酬。住宅用の軽減があります |
| ローンの事務手数料・保証料 | 借入額の2.2%ほど、または数万円+保証料 | 決済時 | 金融機関やプランで大きく違います。総額で比べましょう |
| 火災保険・地震保険 | 数万〜数十万円 | 決済時まで | 補償内容と期間で変わります。水災の補償も確認を |
| 固定資産税などの精算金 | 数万円 | 決済時 | 引き渡し日から年末(年度末)までの分を売主に払います |
| マンションの管理費などの精算金 | 数万円 | 決済時 | 引き渡し日以降の分を日割りで払います |
| 不動産取得税 | 0円〜数十万円 | 入居の数か月後 | 県から通知が届きます。住宅用の軽減で0円になることも |
※合計の目安は、中古住宅(仲介)で物件価格の6〜9%ほど、新築一戸建て・新築マンションで3〜6%ほどです(新築マンションは修繕積立基金がかかることがあります)。注文住宅では、地盤改良・外構・つなぎ融資の費用なども考えておきましょう。
※このほか、引っ越し費用、家具・家電、リフォーム費用、入居後の不動産取得税などがかかります。金額は物件や金融機関によって変わります。
04住宅ローンの選び方
金利タイプの違い
| タイプ | しくみ | 良いところ | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 変動金利 | 半年ごとなどに金利が見直される | 今の金利が最も低いことが多い | 金利が上がると返済額が増える。返済額の上がり方に上限(5年ルール・125%ルール)がある金融機関も |
| 固定期間選択型 | 10年など、決めた期間だけ金利が固定 | 子育て中など、決まった期間の返済を安定させられる | 期間が終わると、その時の金利で見直しになる |
| 全期間固定 | 完済まで金利が変わらない(フラット35など) | 返済額がずっと変わらず、計画が立てやすい | 変動金利より金利が高め |
「どのタイプが得か」は、将来の金利しだいなので誰にもわかりません。大切なのは、金利が上がっても家計が耐えられるかです。変動金利を選ぶなら、金利が1〜2%上がったときの返済額を計算し、貯蓄や繰上返済で備えられるかを確認しましょう。返済額が増えると困る方、計画どおりに返したい方は、固定金利が向いています。
そのほかに決めること
返済期間
長くすると毎月の返済は減りますが、利息の総額は増えます。完済するときの年齢が、定年後の収入で返せる範囲かも確認しましょう。
返済方法
毎月の返済額が同じ「元利均等返済」が一般的です。最初の返済額は多いものの、利息の総額が少ない「元金均等返済」もあります。
団体信用生命保険(団信)
借りた人が亡くなったり、重い障害を負ったりしたときに、ローンの残りが0になる保険です。多くの金融機関で加入が条件です。がんなどの病気を保障する特約付きのものもあります。
手数料の払い方
「借入額の2.2%ほどの事務手数料(保証料なし)」と「保証料あり(事務手数料は数万円)」などのタイプがあります。金利だけでなく、手数料を含めた総額で比べましょう。
借りられる額は増えますが、産休・育休・転職などで片方の収入が減っても返せるかを考えておきましょう。ペアローンは、2人それぞれが住宅ローン控除を使える一方で、手数料がそれぞれかかり、団信も別々になります。離婚したときの扱いも決めにくくなるため、よく話し合ってから選びましょう。
05住宅ローンの審査
審査は、事前審査(仮審査)と本審査の2回あります。事前審査は数日〜1週間、本審査は1〜3週間ほどが目安です。
| 見られること | 内容 | 準備・対策 |
|---|---|---|
| 返済負担率 | 年収に対する、すべての借り入れの年間返済額の割合 | 車のローン・カードローンも含まれる。不要なカードは解約しておく |
| 年収・勤続年数 | 収入が安定しているか | 転職したばかりだと不利なことも。自営業は確定申告書が2〜3年分必要 |
| 信用情報 | クレジットカードやローンの支払いの遅れがないか | 携帯電話の端末代の分割払いの遅れも記録される。心配なら信用情報機関で確認できる |
| 健康状態 | 団信に入れるか | 持病があれば、条件をゆるめた「ワイド団信」などを検討 |
| 物件の担保価値 | 万一のときに、物件にどれくらいの価値があるか | 古い建物・市街化調整区域・再建築できない物件は不利なことも |
- ローンの決済が終わるまでに、車のローンなど新しい借り入れをする
- 転職・退職をする(本審査や融資の実行に影響することがあります)
- クレジットカードの支払いを遅らせる
事前審査に通っても、本審査までに状況が変わると、借りられなくなることがあります。
06購入前に確認したい物件のポイント
物件の探し方や内見のチェックリストは「物件探しの完全ガイド」で詳しく解説しています。ここでは、お金とローンに関わるポイントに絞って紹介します。
耐震性と築年数
1981年6月より前に建築確認を受けた「旧耐震」の建物は、住宅ローン控除などの優遇で条件が付くことがあります。耐震基準に合っていることの証明書があるかも確認しましょう。
省エネ性能
新築住宅は、省エネ性能で住宅ローン控除の対象額が変わり、省エネ基準を満たさないと原則として対象外になります。光熱費にも差が出ます。
災害リスク
浸水の想定がある地域では、火災保険の水災の保険料が高くなることがあります。ハザードマップで確認しておきましょう。
ローンが組みにくい物件
市街化調整区域、再建築できない土地、違反建築、借地などは、ローンが組めなかったり、金額が減ったりすることがあります。申し込む前に確認しましょう。
リフォームの費用を、住宅ローンと一緒に借りられる金融機関もあります。リフォームローンを別に借りるより金利が低いことが多いので、購入前に見積もりを取り、資金計画に入れておきましょう。
07購入の申し込みと価格交渉
購入申込書(買付証明書)には、希望価格・手付金・引き渡しの時期・ローンを使うかどうかなどを書きます。法的な拘束力はありませんが、本気で買う物件にだけ出すのがマナーです。
交渉のコツ
- 根拠を示す:周辺の成約事例、修繕が必要な箇所(給湯器の交換・外壁の塗装など)の見積もりなど、理由のある交渉は受け入れられやすくなります。
- 相手の事情を考える:売り出してから長い物件や、売主が早く売りたい事情がある場合は、交渉の余地があることがあります。
- 価格以外も交渉材料に:引き渡し時期を売主の都合に合わせる、エアコンなどの設備を残してもらう、などの条件も交渉できます。
- ローンの事前審査を済ませておく:「確実に買える人」だと思ってもらえ、交渉が通りやすくなります。
根拠のない大きな値引きを求めると、売主の印象が悪くなり、ほかの購入希望者に決まってしまうことがあります。人気の物件や、売り出したばかりの物件では、価格どおりで申し込むほうが良いこともあります。担当者に相場感を聞いてから判断しましょう。
08重要事項説明と売買契約
契約の前に、宅地建物取引士から「重要事項説明」を受けます。専門用語が多いので、できれば数日前に書面をもらって読んでおき、わからない点はその場で質問しましょう。
重要事項説明で確認すること
- 登記の内容(所有者・抵当権など)
- 法律上の制限(用途地域・建ぺい率・容積率)
- 道路との関係、上下水道・ガス
- ハザードマップ上の位置、土砂災害警戒区域など
- マンションの管理規約・修繕積立金
売買契約書で確認すること
- 売買価格、手付金の額と支払い方法
- 手付解除ができる期限
- 住宅ローン特約の内容と期限
- 契約不適合責任の期間と範囲
- 引き渡し日、残る設備・撤去される物
- 手付金:価格の5〜10%ほどが一般的です。売主が契約の履行に取りかかる前なら、手付金を放棄して解約できます(手付解除)。
- 住宅ローン特約:本審査に通らなかったときに、契約を白紙に戻して手付金を返してもらえる取り決めです。借りる金融機関・金額・期限が書かれているかを確認しましょう。
- 契約不適合責任:引き渡し後に、契約の内容と違う不具合(雨漏り・シロアリなど)が見つかったとき、売主に修理などを求められる責任です。個人が売主の中古住宅では、期間が「引き渡しから3か月」などに限られたり、免除されたりすることが多いです。
- 違約金:どちらかが契約を守らなかったときの金額で、価格の10〜20%ほどが一般的です。
契約不適合責任が短い・ない物件では、購入前のインスペクション(建物状況調査)がより大切です。調査を受けた住宅は、既存住宅売買瑕疵保険に入れることがあり、購入後に欠陥が見つかったときの修理費用に備えられます。
09決済・引き渡しの日の流れ
平日の午前中に、買主がローンを借りる金融機関に、売主・買主・不動産会社・司法書士が集まるのが一般的です。1〜2時間ほどかかります。
- 司法書士が、登記に必要な書類と本人確認をする
- 住宅ローンが実行され、買主の口座にお金が入る
- 売主に残りの代金(手付金を引いた額)を振り込む
- 固定資産税などの精算金、仲介手数料、登記費用などを払う
- 鍵・設備の説明書・管理関係の書類を受け取る
- 司法書士が法務局に所有権移転などの登記を申請する
本人確認書類、実印・銀行印、住民票、印鑑証明書(ローンの契約用)、通帳、諸費用の支払いに使うお金。必要なものは金融機関や司法書士から事前に案内があります。
新居の住所で住民票を先に移しておくと、登記の住所変更が不要になるなど手続きが簡単になることがあります。司法書士に相談しましょう。
決済の数日前に、売主・不動産会社と一緒に物件を見て、契約のときと状態が変わっていないか、残る設備・撤去される物が約束どおりかを確認しておくと安心です。
10購入後の税金と手続き
| 手続き | 時期 | メモ |
|---|---|---|
| 転入届(住所変更) | 引っ越しから14日以内 | 運転免許証・銀行・保険などの住所変更も |
| 不動産取得税 | 取得から数か月後に通知 | 県税事務所から届きます。住宅用の軽減を受けるために申告が必要な場合があります |
| 住宅ローン控除の確定申告 | 入居した翌年の2月16日〜3月15日 | 1年目は確定申告が必要。会社員は2年目から年末調整で受けられます |
| 固定資産税・都市計画税 | 翌年から毎年(4〜6月ごろに通知) | 1月1日時点の所有者にかかります。新築住宅は一定期間、建物の税額が軽くなります |
住宅ローン控除(住宅ローン減税)
年末のローン残高の一定割合が、所得税(引ききれない分は一部住民税)から差し引かれる制度です。控除を受けられる期間や借入額の上限は、新築か中古か、省エネ性能、入居した年などで変わります。
- 主な条件:自分が住むための家で、床面積が原則50㎡以上、ローンの返済期間が10年以上、合計所得金額が一定以下など
- 中古住宅:1982年以降に建てられた住宅(新耐震基準)、または耐震基準に合っていることが証明された住宅が対象
- 申告の書類:2023年以降に入居した場合は、金融機関に「適用申請書」を出しておくと、年末残高証明書の添付が不要になります
住宅ローン控除をはじめ、住宅の税金の優遇は毎年のように見直されています。契約の前に、入居予定の年の制度を確認し、物件が条件に合うかを不動産会社や金融機関に確かめましょう。
11長く安心して住むために
修繕の計画と積み立て
一戸建ては、外壁・屋根の塗り直しが10〜15年ごと、給湯器などの交換が10〜15年ごとが目安です。毎月1〜2万円ほど積み立てておくと、まとまった出費に慌てずに済みます。
ローンの見直し
金利の動きを年に1回は確認しましょう。余裕資金ができたら繰上返済、金利差が大きければ借り換えも選択肢です。手数料や、住宅ローン控除への影響も考えて判断します。
保険の見直し
火災保険は、補償の内容が暮らしに合っているか、更新のときに見直しましょう。水災・地震の補償、家財の補償も確認を。
書類の保管
売買契約書、重要事項説明書、登記識別情報、領収書、リフォームの記録などは、将来売るときや相続のときに必要です。まとめて保管しておきましょう。
Qよくある質問
Q諸費用はどれくらいかかりますか?
Q頭金なしでも家は買えますか?
Q変動金利と固定金利、どちらがいいですか?
Q住宅ローンの審査にはどれくらい時間がかかりますか?
Qローンの本審査に落ちたら、手付金は戻りますか?
Q中古住宅でも住宅ローン控除は使えますか?
Q購入後にかかる税金は何がありますか?
まとめ:安心して家を買うための5つのポイント
- 予算は「返せる額」から:年間返済は年収の25%以内、手元に生活費の半年分を残す。
- 諸費用を忘れない:中古なら物件価格の6〜9%ほどを現金で準備する。
- ローンは総額で比べる:金利・手数料・団信の内容を合わせて選ぶ。
- 契約書は事前に読む:ローン特約・手付解除・契約不適合責任を確認する。
- 税金の手続きを忘れない:住宅ローン控除は1年目に確定申告が必要。
家の購入は、人生でも大きな決断のひとつです。わからないことは遠慮なく、不動産会社・金融機関・税理士などの専門家に相談しながら進めましょう。
ご注意ください
- 本記事は、2026年11月時点の法令・制度にもとづく一般的な情報です。住宅ローン控除などの税制や、金融機関の条件は変わることがあるため、最新の情報をご確認ください。
- 記事内の金額・割合・期間は一般的な目安であり、実際の条件は物件・金融機関・個別の状況によって異なります。
- 借入額や契約の判断は、金融機関・不動産会社・ファイナンシャルプランナー・税理士などの専門家にご相談ください。